top of page
LANDSCAPE
sunflower
Sunflower Field (ひまわり)
yellowsun
The Yellow Sun
redsun
The Red Sun
KAZEー風
kaze
Heading 1
「いい絵は音が立つ」。
活字好きのオトンがたまに送ってくる葉書にはいつも長い文章が添えられていたのに、その時は一言だけだったので今でもよく覚えている。友だちの画家・深町めいしゅうさんの絵葉書をあげたら、それに書いてきた一文だった。
オトンが絵を描いていたわりに僕は絵に疎い。でも、いつもの長い文よりずっと腹に落ちたのでそのことをめいしゅうさんに伝えたら、随分と喜んでくれていて、これもよく覚えている。
二年前のゴールデンウィーク、めいしゅうさんが自作の絵をくれた。パッと描けるものではない、何日も何ヶ月もかかる絵を。「お前の親父にやってくれ」と言う。その時オトンはえらい難病で寝たきりだった。もうあまり反応もしなくなっていたのだけど、とにかくこれは渡さねばと連休後半に帰省した。絵を見せるとバチッと目を開らこうとして、ムクッと起き上がろうとする意思をはっきり見てとれた。「もしかして元気なんの?」って一瞬思えた。
ま、元気になるわけはないんだけどそれでもよかったと思っている。オトンとめいしゅうさんは絵で濃密に会話してたんだろう。うらやましかったし、ええこっちゃと思った。
オトンはその翌月亡くなって、その二年後、めいしゅうさんはアメリカンクラブってとこで個展を開いた。実にいい個展だった。うれしかったし、素直にすごいなと思った(絵に疎いけど)。
別に何かの因果があるわけじゃないと思うけど、この週末、オトンの三回忌に実家に戻って二人の絵が並んでるのを見ると、絵描きってもしかしたら会わなくても友だちになれたりすんのかな?って思った。
tree